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「おたくの社長は変わってるね」といつも言われる理由

「おたくの社長は変わってるね」といつも言われる理由
超がつくほど乾燥肌で、敏感肌。
そんな男性だから作れた、
非常識な化粧品メーカーの社長略歴をご紹介します。
アースケアの創業者である井上龍弥は、仕事柄さまざまな人物と出会う機会があります。その中でも、出会う同業者の多くの人が、様々な意味を込めて「変わった社長ですね」と口を揃えます。
そう言われる理由は、もともとの好奇心旺盛な性質と、自身の肌トラブルの経験、歩んできた職歴から、考え方そのものがふつうの化粧品メーカー社長とはまったく異なるからだと言えます。
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    建築の営業から、化粧品の営業へ

    井上は大学卒業と同時に、22歳で地元の建築会社の営業マンとして働き始めました。就職先を選んだ理由は、「自宅から近くて、終電を気にせずに働ける」から。「社会人になったら、とにかくガムシャラに働こう!」と考えていた井上は、現場の作業員のような仕事から、図面から部品を拾う作業、新規開拓の営業まで幅広くなんでも引き受けて、昼夜を問わず仕事をしました。

    やがて、建築業界のバブルが終わり、その会社に自分のやりたいことや将来性がないことに気づき、退職。その時々に景気のいい仕事をいくつも転々としたのち、とある出会いから、「うちの会社に来ないか?」と声がかかったのが、製造工場を持つ、ある化粧品製造メーカーです。いわゆる“業界バブル”のような大きな浮き沈みがなく、腰を据えて仕事ができると感じたこともあり、そこで、営業を務めることになります。

    化粧品の工場に立ち、製造まで全てを経験

    男性である上に、超が付くほど敏感肌・乾燥肌であることから自身が使える洗顔料などに出会えてこなかった井上にとって、「化粧品とは女性が使うもの」であり、「化粧水ってどうやって使うの?」「美容液って何のために塗るの?」というレベルです。

    そこで、入社して最初の半年ほどは、製造工場に勤務させてもらい、製造工程に従事したのです。工場では商品の充填やキャップ締め、箱の組み立てなど、製造ラインに並んで働きます。そうした工程でいろいろな化粧品の容器やパッケージのデザインがあることを実地で学びます。

    それらの業務が終わった後に、化粧品について教えて貰う日々。9時から18時までは工場で働き、そのあと、食事をして、朝方5時ごろまで化粧品の勉強です。

    夜中の勉強では、化学の知識をたたき込み、研究室にも入れてもらい、実地で化粧品の作り方を教えてもらいます。井上の化粧品作りに関する知識の土台は、このときに培われました。

    「睡眠時間は3時間取れたら良いほう」という身を削るような経験は、自身の敏感肌・乾燥肌の経験が相まって、こののちに化粧品メーカーの社長としては異質な考え方を生み出すことになります。

    他社ブランドの立ち上げにも参加

    その後1年程したとき、「子会社の社長をやってみないか?」と声がかかりました。不良在庫を抱えた会社の立て直しです。

    引き受けた井上は、企業の名簿を片手に、化粧品会社へのOEM商品のプレゼン資料作成・送付と、一から代理店網を作り上げることを平行して行っていきました。独自アイデアを絞りだし、なんとかOEM企業を獲得することにも成功します。ここで、今では有名になった某メーカーの初期の化粧品をつくるなど大手ブランドの立ち上げにも関わることができ、幅広い経験をします。

    不良在庫であった商品は、代理店を全国に獲得でき、1年ほどかけて販売網を作ることにも成功しました。そこからは日本全国を駆け回る日々です。

    それなりの成功を収めて自信を持った井上は、雇われ社長を退任し、自分の会社を起こすことを決めるのです。

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    自分の声で、考えで、直接伝える

    自身を「やりたいと思ったことはやらずにはいられない、こらえ性のない、迷惑野郎です」と評する通り、起業は「昔から独立したかったから」という、なんとも心もとない理由からでした。26歳になったと同時に、株式会社アースケアを創業します。

    もともとのOEM事業はそのままに、代理店網は手放していました。それは、『販売店』が間にある“卸売り”という商品の売り方に違和感を感じていたからです。

    販売店(代理店)側から見ると、アースケアの商品はたくさんある取扱品のひとつに過ぎません。化粧品の知識も浅ければ、商品の詳細もわからない、そういった店側が、はたしてお客さんに十分な対応ができるかどうか、疑問を感じたのです。

    自分自身が超が付くほどの乾燥肌・敏感肌であったことから、肌の知識も経験も十分にある。化粧品の製造ラインにも立ち、化粧品そのものも作っていた。ブランドの立ち上げも参画し、業界のさまざまなことを知っている。

    「そんな自分こそが直接、お客さんに肌のことを教えるべきじゃないのか?」

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    自分の肌で試して、作ること

    赤みやかゆみがなく使える洗顔料や化粧品に出会えず、いつもカサカサの肌。ワイシャツのノリで、首の皮膚に炎症・かぶれを発症。バイトで紫外線に2時間当たった結果、皮膚炎からの水ぶくれ、裂傷、高熱の発症。出張先で備え付けのシャンプー・リンスを使い、頭皮や首にかぶれを発症。プールの塩素で、炎症・かぶれを発症。

    「笑えるぐらいに敏感肌なんです(笑)」という通り、井上が経験している肌トラブルは無数にあります。

    そんな自分が実験台になれば、大概の人の肌で使えるだろう。そう気づいたことから、「自分の肌で試し、自分のような敏感肌でも使える化粧品を作って、使ってもらおう」と、商品づくりを一からスタートしたのです。

    同時に、「世の中に不満ばかりでした」という通り、納得できないことをすべて自分の会社では行わないようにしました。

    たとえば、スキンケアには基礎化粧品の種類がたくさん必要だとされていること。商品を購入するまでには、メーカーや卸問屋が間に入るので、商品代金が高くなってしまうこと。百貨店など商品販売をするために、お客さんが来ない時間であっても売り子を置いておかなければならず、そうしたコストが商品を高くしてしまうこと。そうしたことをすべて無くしていくのです。

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    “当たり前”だと思わないことが、自分の強み

    例えば、今でこそ当たり前にある「基礎化粧品が1本で済む」という化粧品。当時はまだ少なく、その発想は受け入れられておらず、「そんなの化粧品じゃない」と言う人が大半です。化粧品メーカーからしても、数多くの商品を作るほうが売り上げが高くなるので、わざわざアイテムを減らす行為はしません。

    しかし、自分の経験を話し、どうして1本で基礎化粧品が完了するのかを説明する、アースケアのホームページには、共感する多くのお客様が集まりました。結果、10年以上も中身のリニューアルなく、今もそれが主力商品です。

    ほかにもいくつもあります。

    • 通信販売でだけ売るという販売方法

      百貨店や訪問販売の化粧品が主流だったところ、いつでも出かけなくても買える便利さを提供。また、販売員の用意もいらず、不要なコストを商品に還元。「好きなときに買えて便利」「あれもこれもと買わされないから、安心できる」と喜ばれることに。

    • メーカーでありながら販売店でもある

      いわゆる“中間マージン”が無くなった結果、化粧品の中身にコストをたっぷりと使うことが可能となり、良いものが提供できることに。それに、自分が作ったのですから、誰よりも何よりも詳しく説明ができる強みが発揮され、同じ肌トラブルで悩んでいた方から、「ためになった!」と嬉しい声が集まる。

    • 華美なパッケージや高級そうに見える容器は使わない

      捨てるのがもったいないものの、「高価なほうが、効果が高い」とされる化粧品業界に一石を投じるように、シンプルで実用的な容器を採用する。すると、「私ももったいないと思っていた」「中身にコストをかけてくれるほうがいい」と賛同者が集まることに。

    • 自分の体験談を伝えるというスタンス

      「自分の体験と、スキンケアのやり方を教える」ためにホームページを作り、電話相談を受けていたことから、おのずと信頼を得ることに。しかし、時折、「もっと売り込んでもらわないと、買いにくい」とお客様に注意されることも。

    • 電話相談でも、売り込みは一切行わない

      自分の経験から、「“肌について知りたい”から、“疑問を解消してほしい”から、電話相談をするのだから、お客様からの電話には、“もう分かった”と言われるまでとことん付き合う」という利益度外視の姿勢で電話対応を行う。
      すると、「こんなに丁寧に教えてくれる会社は他にはない」とお客様が喜んでくれることで、会社のスタンスが固まる。

    • 「自分が試してどうだったか」の情報も公開

      他社の商品は内容成分を見てもわからないことが多いもの。だから、他社の商品を購入し、自社スタッフで使ってみた感想を公開するなど、自分の会社の商品を使うだけではなく、客観的な視点も大事にする。

    こうした一つ一つの積み重ねにより、当時の化粧品業界では考えられない商品と会社のスタンスになります。

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    自分にしかできないこと

    男性だから、女性には無かった発想が生まれたこと、好奇心旺盛さが相まって、化粧品業界の慣習に縛られない取り組みができたこと、見た目よりも中身を重視する性質であったこと、超がつくほど敏感肌・乾燥肌であったこと、化粧品の開発者であり、経営者のこうした視点が、一般的な化粧品メーカーと違う”アースケア”という会社の特異性につながっていったのです。

    「自分がおかしいなと思うことは是正していき、お客様の声をきちんと聴いて実行していく」と言うのが、この会社アースケアの企業スタンスです。

    現在の井上は、電話対応からは退いているものの、企業スタンスは変わらずにいます。そして、

    • スキンケアの基本『保湿』に特化した商品づくり
    • 正しいスキンケアの情報提供
    • 知識豊富なアドバイザーによるサポート
    • お客様の意を組むオペレータによる丁寧な接客

    こうした当たり前のことをコツコツと積み上げてきた結果、企業として安定しています。

    化粧品に華やかさやイメージを求めたいという方には、「男性が無粋な」と言われてしまうかもしれません。

    今も昔も、化粧品の“顔”といえば、美しい女性社長、輝いている女優やモデルです。男性で、しかも敏感肌・乾燥肌の中年男性が前面に出ている化粧品メーカーなんて、そうそうありません。しかし、そうではなく、「面白い会社だな」と思ってもらえたならば、ちょっと変わった代表が経営する“他とは一味違うアースケア”の商品やサービスは、あなたに気に入ってもらえるかもしれません。